新春放談クロニクル 1986
1986 この回はリアルタイムで聞いてません。 パート1.つれづれ パート2.スノータイムとお手紙 パート3.ライヴ音源、映画の話を聞きたい の構成でまとまってます。要約はしやすかったです。 曲も適度にかかってます。編集で挿入したんじゃなく、かけながら 話してるのがよいですね。 クラレンス・ヘンリー、ランディー&レインボウズ、エコーズ・・・馴染み のないところで、まだまだ聴いたことのないアーティスト、聴かなきゃ ならない曲がいっぱいあります。 3年目となり事前告知の結果、ファンからの質問、メッセージだけで たっぷりあります。 呼称も巨匠、フィヨルドのご隠居、福生の上エイイチ、ミスターツンドラ、 「師匠」と連呼され、こんにちまで定着した端緒ですね。当時はまだ 誰もそう呼ばなかった「ナイアガラー」。『ロンバケ』世代がすくすくと 巣食って行きます。こういう資質がファンに選ばれる資格となりました。 はじめに、前年悲観的だった「年寄のたわ言」。その行方、を聞いて みましょう。 最近聞いて再発見・再認識したもの、として エヴァリー、83年の「ロイヤルアルバートホール・リユニオン・ライヴ」 これには二人とも涙。男のロマンチシズム@とはどういうものか、が 感じられる。 https://www.youtube.com/watch?v=pCdp3neIDO4 44:00からの3曲メドレーです。 二人ともリアルタイマーじゃないけどよい。オジンの郷愁だけとは 言えない。その時代の体験無い人でも、支持される可能性ある。 もう一つ 昨年かけたジーン・ピットニーが評判がよかった。若い人でも感動を 呼ぶ。非常に心強い これは「年寄のたわ言」に対しての支持が得らえてる、共感を得て いる手ごたえを感じた部分です。 「男のロマン」@というのは、この3夜で4回出てくるキーワードなので @〜Cと記させていただきました。後半にまとめます。 あとはパート2のお便りに答えて ゴーゴーナイアガラの復活はない 音楽を作るしか残されてない。ことし悲観的、消極的 84年とは矛盾してますね。 これは、歌うこと、アーティスト大滝詠一の展望に悲観的、という ことでしょう。 若い意気のいい人 オールディーズを若い人たちの感覚で料理 して 前後を考えてしっかりやる人が出てくればそれでいい これは、若手ソングライターのことかと思ったんですが、ポップス伝 の語り手のことかもしれない、と気づきました。 ひょっとしてですが、これでしょうか ![]() ノンスタンダード/テイチクのフリーペーパー。1985年の12月発行 「レココレ」に書き手として小西康陽が登場するのは86年9月。 パート1で レコード会社の若いディレクターがクリス・モンテスが好き。一晩 かけてベストを作った 1986年からクレジットされてるソニーの若い担当ディレクターは 河合マイケルです。 86年の冬に小西と河合マイケルが『カップルズ』のミーティングを するんですね。 では、「男のロマン」について。 2回目は、パート3の内容予告として81年にやったスタジオ・ライヴ。 あれの音源が見つかったのでそれを3週目に、と達郎が言った ところで、エヴァリー=「男のロマン」A一言つぶやいてます。 3回目はパート3 「熱き心に」(85年11月)の話題。 ただ聴いて何かを感じたとしたら裏側に「男のロマン」Bを感じて もらえるかなあ これもmy memories of you ロイオービソンとしてはちょうどギリギリいいところじゃないかな ロイオービソン、36年生まれ、アキラ、38年生まれ。二人を重ね 合わせてみてます。美声健在。何を歌ってもhis style。 「男のロマン」は、男同士のロマン。あっちの意味じゃなくてね。 エヴァリーの兄弟愛。そして、大瀧さんの旭さんへの思い。憧れの 成就でしょうか。「my dream of アキラ」だと思えます。 そして、詠一&達郎のエヴァリー・デュエットを紹介するとき、もはや 合いの手のように「男のロマン」Cと一言。 達郎のファンクラブ会報「タツローマニア」2014冬号でマニアック・ツアー のセットリストについて振り返ってます。 大瀧さんと僕の関係って、ほかの誰とも違うんだ。ドロドロした部分も あったし・・・ スタジオではお互いに妥協せず譲歩せず衝突もあったかもしれない。 シュガーベイブは「エレックじゃだめだ」と思ったからナイアガラと契約 破棄したのかもしれない。 昨年のセットリストで感涙したのは、エヴァリーのライヴを観た二人の 感涙に少し似てるかもしれませんね。 達郎が大瀧さんへの思いを胸に歌った姿。それを見ていただろう 大瀧さんの思い。 エヴァリー兄弟の思いとは別ですが、これもわたしが感じた 「男のロマン」です。 小ネタ集です。 ○『トラ1』10周年 『ソングス』CD化 コバンザメシリーズ ポケットミュージックは4月 『CDBOOK1』 つまり、『ソングス』 『トラ1』CD化は6月。 東京・大阪で延期したツアーは5月スタートでした。 ○歌詞が聴き取りにくいトライアングル もう聴き取りにくいことない ふつうのおじさん 84年都はるみ引退宣言が元ネタでしょう。 ○1回終わってまた始まるエンディング イチゴ畑(81)、レイクサイド(84)、「颱風」の途中もそうでした。 大瀧さんは多種多様でした。「夏のペーパーバック」はエンディングを イントロと取り換えたんでしたっけ。 ○「Ride On Time」イントロ無いもん 手抜きじゃん 「Help」「Help Me ロンダ」もありますよ。 「手抜きじゃん」この真面目さ、仕事好き、が日本の原動力。モノヅクリ 大国の土台ですね。 ○ロイ・オービソンライヴ「クライング」 健在 この盤ですね。 http://www.45cat.com/record/dztas9 ○ロイ・オービソンが歌えるのは山下君しかいない 「Mean Woman Blues」は十八番ですね。自作では「ドリーミング・ガール」 あたりに出てますか。 ○エルヴィス「エンジェル」持って来てもらった バラードだって意外だったということは、これもはじめて聴いたと思います。 ○『スノータイム』ファン泣かせ プロモアルバム2回目から3回目か 売らない物を出すほど罪なことはない 80年代末、蒲田のえとせとらで目撃しました。2015、今年初めて オリジナル・シークエンスの『スノータイム』が公式に入手できるようになり ました。 以下、怒涛の質問コーナーです。 ●ササガワエイジロウくん16歳愛知県 放送部、昼の放送でかけてる 「夏のリヴィエラ」大笑い ●ドイくん兵庫県 『ビーチタイムロング』冬篇アルバムをと思うのは僕 ぐらいでしょうか 詠:僕もそうでした 類は友を呼ぶ 次元が同じ ファンの人のヒントで レコードを作ってた ●オザキキョウコさん16歳愛知県 R&R退屈男2 ![]() ●ヤダミワコさん北海道 「ウォーターカラー」の詞 making of イエロー サブマリンの最後の謎 詠:答えは今年作らなきゃならなくなるかもしれません 86年4月「実年行進曲」が萩原哲晶84年1月没のトリビュート。87年の 『レッツ・オンド・アゲン・スペシャル』のライナーで解答をしてます。 クイズなるほどザ恋のナックルボール イーチタイムナイアガラクイズ 詠:見てない聞いてない!ひどい!あれ誰が作ったの 詠:俺だって知らないよ 今年の予定?去年なんか言ったかな ちょっと怖いから次行きましょ 今年は立場上、追及甘いですよね。 ●マークリこと匿名希望東京都 クレージーのオールナイト上映に行って ラジオ番組を聞き逃したアホな子です 85年12.1のFM東京「大滝詠一のウィンター・ワンダー・ランド」。の話 なので直前のハガキですね。 ●サカヅメエミさん20歳東京都 抱腹絶倒 めいっぱい ○”リグレイファン”てなんですか?老人用扇風機かなにかですか? このくだり、大瀧さんが「なんで老人用なんだ」と言った後の2秒間を じっくり聞きかえすと、大瀧さんが”おじじリグレイファン”でサカヅメさんが 「お爺さんの」と考えたんだろうと気付くのが分かるんですね。 気付いてすぐ「すいません」と謝罪してます。こんなバカバカしいことで 悩ませて申し訳ない、という、この大瀧さんの反応がほんとうに本当に おもしろい! http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83% A0%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82% B8%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83% 91%E3%83%8B%E3%83%BC これは、ナイアガラMLの投稿に模範解答があったように記憶してます。 ○知ってるはずがないのに聴いたことのある曲 「Treat Me Nice」が 「三文ソング」 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1896030880&owner_id=2056687 この回聞いてないので、わたしは2012年まで気づきませんでした。 ○毎月ラーメンが送られて来る? 詠:おかげさまで健やかに育ってます どういう一生これから送ってくんだろうか心配になってきちゃった ほんとうに天然にまじめな手紙ですよ。在京MLメンバーの方はサカヅメ さんの消息をご存知ないでしょうか。 ○ある日分かって こういうことだったのか どうしてこんなこと わかんなかったのか ジェネレーションの問題 時代を貫けるようなパロディーを作れなかった ことを反省 しかし、アミーゴ・ガレージでの記述 https://web.archive.org/web/19970222112258/http://fussa45.com/garakuta/ splash3.html#11 「あとは各自で」イズムだと思います。 ●フルマツコウノスケくん広島県 似顔版画 120点です 合格なら サインください 詠:120点は合格点なのかな 天邪鬼というのか。大瀧さんの性格、こういうところがありますね。 ●イネムリキョウシロウくん香川県 MR.ツンドラへ ワープロ漢字 住所録 アーティスト番号は21 22ではないでしょうか 大量生産時代のサウンド ●ヨコオマコトくん千葉県 わけのわかんない歌ばっかりのLPを 前世の因縁を責められてる ●ミヤウチヒロシくん17歳徳島県 早く一人前の大人になってレコード うんと買いたい 詠:最初に到達点を決めると膨大さに目がくらんでしまう あるもんをとりあえず 若い頃の飢餓感がよい(年寄じみてるな) 俺なんか何も知らないよ 知ってることを系統立てて辿っただけ 今回でほんとうに知らない曲がいっぱいあるなと再認識・痛感しました。 ○達:学生の頃いちばん聴いた どんな形でもいいから聴く 何度も聴いた ラジオをテープに録って それで覚えた ドゥーワップのレコード見たこと なかった 大人になったら好きなだけ買えると思ってました。でもそれは子供の学費が かからない時だけでした。 3度の転職・再就職で収入は横ばいで、3.21以外CDは買えなくなってる・・・ で、達郎のリマスター・リイシューは、ナイアガラーのアニヴァーサリー購入の 予算と習慣の受け皿にならんとしてますよ。 リマスタリングby達郎で、『トラ1』(2016)、シリア・ポール(2017)が出そうな 予感。 ○雪のツンドラ なんなんですかこれは ピュアなスペクター・アプローチの一つですね。音壁いい状態です。 ●シマザキタカコさん20歳千葉県 渋谷陽一番組の曲 発表しないから あそこしかない あれにギターのっけたら http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1922918470&owner_id=2056687 04年にわたし書きましたが、すでに回答してましたね。 ○小林信彦ライヴ 青島幸男とゲスト わたし「血煙高田の馬場」を池袋200スタジオで観た記憶がありますが、 どんなイヴェントだったんでしょう ○禁煙音頭 今度クレジットしますから 『CD BOOKT』の『フォール・スターズ 2ndイシュー』ライナーの解説で しっかりクレジットされてます。 ○オーロロロラと発音してほしい 「熱き心に」はラ行の応酬でした。阿久悠は確信犯でしょうか。 ○ハツダミユキさん福岡県 重羽竹 鬼泣き 達:そういうのはないそうで ございます このぐらいでびっくりしてるようじゃ大瀧ファンとしては 修業が足りない 詠:深く聴かないでください たたりがあります 達:ウソつけよ ほんとにもう ○「My Memories of You」 この次のあれには入れたい 86年12月の『オンスト2』にしっかり入ってます。 ○《ALL TOGETHER NOW》プログラム、アンケート好きな映画 「血煙高田の馬場」 東京国際映画祭マキノか迷って、けっきょく山中1週間通った http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1907328056&owner_id=2056687 エノケンほうかいごう? 「鴛鴦歌合戦」のブックレット入ってない 廉価版を買いそうになりましたが、ブックレットの大瀧さんのテキストは 「Writing&Talking」で読めます。「小林旭読本」も今年ついに読めます。 ○まじめな今年の予定 クレージーデラックス 出来たらいちばん最初に 見るという約束を取りつけた 新作としてはクレージーの「実年行進曲」「新五万節」ですね。 『CD BOOKT』とバラ売り分もすべて新しいリミックスなので、吉田保の 担当と言ってもかなり長時間スタジオにいたんじゃないでしょうか ○「熱き心に」6月に録音 録音日時が初めてわかりました。ONアソシエイツが数年あっためてた、 とも。大森氏の話だと『イーチタイム』の制作中にオファーしたような ことでした。 ○1曲だけは良い 素人です アマちゃんの感性なんですね。 ○サウンズオヴポップスのスタジオライヴ音源が見つかった エヴァリーの デュエット 「男のロマン」4回目 達:今聴くとすごくもう涙なしには聞けないんですけど恥ずかしくて、えへへ 詠:cryingだ、泣いちゃうよ 達:愛嬌愛嬌 時間無くてねその時ね 詠:言い訳の多い奴らだと思ってんじゃないかな レコード出来なきゃ 出来ないって言い訳ばっかり言って 達:コンサート延期したっちゃ延期したって そういえばさ大瀧さん昔・・・ 詠:僕はね前科が多いんだよ 達:考えられることは全部ある 詠:悪い方の見本は全部やってるよ 後の人たちはそれを教訓にやって もらわないとうかばれないよ 達:大丈夫 詠:何が大丈夫だ このくだり最高です。 ○「Come Softly to Me」 詠:決意したことがあります。引退します、わたし 達:なんで? 詠:いやあだめだね 達:何を言ってんの だめですよ 詠:曲を作ることに専念しよう 歌うのやめた 達:大瀧さんの声が赤裸々に出て来るのはなかなか得難い体験 意識的にフェーダー上げて 1ケーはちょっと上げてあります 詠:ブルーになってきちゃった ここを聞くと、作曲についてはまだ「欲」があるんですね。「熱き心に」の 手応えだと思います。 ○詠:シュガーの福生で練習のコーラスしてるのがよくハモってる あるぞ一杯、なんかねーかな、 よかった、これで矛先が・・・はぁー(ため息) ため息がすごい。ほんとうに油汗が出るような心理状態だったんですね。 言っちゃ悪いけど「ヘッドフォン・コンサート」の歌より数倍出来はよい ですよ。 達郎は心配してずいぶん擁護してますね。「大瀧さんはヴォーカルの 評価が辛い」ってここで焼き付いたんですね。 ○アソシエーション ボーンズ・ハウとチャック・ベリー 今年はチャック・ベリーの年だね 『バックトゥザフューチャー』見直しました。 ○カツラギメグミさん大阪府 自分の作品で気に入ってるのは? 詠:next one(ヒッチコック) ![]() ![]() 「熱き心に」以上の曲を書ける、ということですね。 最終作が最高傑作・・・最新型は最高品質、というのは嫌いだったはず ですが。 ○86年の抱負は? 詠:自分のじゃなく、自分が聴きたいなというようなレコードを作ってみたいな 曲の提供は多少はある 自分のは出ない CDボックスは出す 前年よりも正確な予告でした。 ○チャック・ベリーは 詠:ジョニー・リバースから入った。「All Most Grown」は クリスタルズから入った バディー・ホリー、ジーン・ヴィンセント、エディ・コクランもみんな後から 聞いた。その後オリジナルは、というふうに戻った 達:高校の中間で、back to rockのリヴァイヴァルがあった。日本で 出てなかったのが一気に出た だからオリジナルで入った この体験が「ゴーゴーナイアガラ」の選曲になってるし、ブリティッシュ・ ポップス伝の前のアメリカンをやらざるを得なかった理由ですね。 ○達:替えがない音楽 本人が動くほかない 怠惰な大瀧さんに励ましの 手紙を書きましょう この手紙を大瀧さんが読むのはまた年末ですけどね。 『バックトゥーザフューチャー』観ました。 ボーンズ・ハウは音楽監修でクレジットされてます。 1985年からタイムスリップして30年前の1955年がクライマックスの舞台 です。 ”深海パーティー”で主人公が「ジョニー・Bグッド」(58)を歌い、バンドの ギタリストが興奮して、いとこに電話で聴かせる、そのいとこがチャック・ ベリーという名前なんです。 ボーンズ・ハウとチャック・ベリーの関係は、ジョニー・リバースによる リヴァイヴァル・ヒット(64)を仕掛けたのがハウだった点 ではないかと思います。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83% BB%E3%83%8F%E3%82%A6 http://en.wikipedia.org/wiki/Johnny_Rivers_discography エンディングにびっくり。30年後の2015年が次回作の舞台でした。 大瀧さんからの30年前のメッセージをいま開いた、ようなうれしさです。 コジツケと言われようが 「男のロマン」と言わせてほしい。 ウララカ−インマイルーム ![]() |