新春放談クロニクル 1987



  




1987

風街レジェンド2015 8.21-22
http://kazemachi-legend.com/
では、はっぴいえんどの大瀧作品のヴォーカルとして元春が選ばれました。
「はいからはくち」皆さんはいかがでしたでしょうか。
「あつさのせい」は聴いてませんがどうなんでしょうか。


達郎にもオファーあったと思います。
必然性のある筆頭候補だったかもしれません。
もし受けたとして「12月の雨の日」かなあ、歌いそうなの
は。「指切り」じゃだめでしょうか。

maniacツアー2014は、大瀧さんの作品を何曲もやって、
また大瀧さんが生前新春放談でリクエストしてた、「アマ
ポーラ」やサウンドストリートのテーマ曲「オンリー・
ウィズ・ユー」。ティンバレス・ソロでドラマーなどを。
大瀧さんの好きな楽器と言って「ゴッド・オンリー・
ノウズ」でスレイベル鳴らす、とか大サーヴィスでしたね。
ぜひナイアガラ色の強い新曲を聴かせてほしいものです。

さて、本編ですが、MCが元春ということもあって、律儀な
ダンドリになってます。
また、テーマも用意し、インタヴューの切り口がジャーナ
リスティックだったり、エディターとしての本領も発揮して
ます。
で、3人ともまじめに長いセンテンス話してるんで、ほかの
回と違って「文字起こし」に近くなって、わたしの脚注が
ウットーしいですが、ご容赦願います。

第1週
サウンドストリート「元春レディオショー」新春大放談
○オンザストリートコーナーvol.2からアマポーラ

85年の回で話題に出て無事レコードになりました。

○熱き心に
元:フリップサイドは?
リヴィエラ、イエローサブマリンも B面解放区関係ない
2曲書くの好きじゃない 1曲で完結させたい

アルドン系の作家が特定のアーティストに連続して書か
ない、有名アーティストに数曲ずつ提供、というのに雰囲気
似てるような。

達:自分で歌ってるテイクあるんでしょ
途中から完全に小林旭意識して歌った
相手に合わせて作ったの初めてなんです ぜんぜん様になってないの
達:そこがおもしろいんじゃない 聴きましょうよ今度
無意識に自分用に作ってるんですね、職業作家の人は偉いね

健太さんに「憶えて帰れ」って聴かせたやつですね。

○元:大瀧さんの歌ったテイクって
必ずあります。松田聖子とかぜんぶあります
テープ渡した後は関知しない 歌入れには積極的には参加
しない 好きに歌ってもらう
風立ちぬ リヴィエラ一回しか歌ってない
1回もやったことない 1回は歌うことにしてるんだけどステージがない

「夏のリヴィエラ」の時、「探偵物語」も演ってますね。
けっきょく「熱き心に」は1回も歌いませんでした。

○元:達郎さんはフリップサイドだけにしかいれない曲とは
達:曲を殺すのが嫌なんで 日本の場合は悲しいかなB面はB面でしかない
そこで考えたのはビーチボーイズのカヴァー、ライヴ
書下ろしのB面はのちにコンピレーションで出したい

『レアリティーズ』(02)になりましたけど。

○シングルは放棄 シングル盤に愛着はある 45スタジオ
ナイアガラからシングルヒットを出した印象がない
前5年シングルはミックス変えて B面を特別なものにする
後5年は両A面

「幸せな結末」の10周年にアナログ盤出しました。B面は「恋するふたり」。

○達:佐野君今度ヴァージョン変えてるけどあと3年経って
どっちが好きとか嫌いとか出てくるでしょう
元:日本では7インチはその時代でもう忘れ去られてしまう
6年後のファンに聴いてもらえなくなる恐れがある
LPに入れて残しておかないといけない
達:ライドオンタイム6年経って今聴いてみるとシングル・
ヴァージョンのほうをかけてくれとたのむ
元:アルバム全体の音の感触統一感をもたせたい
連続3枚シングルを出したが1枚1枚曲に合わせてミックス
を変えたので並べてみるとバラバラに
LPはLP用にリミックスしてLP独自の音の感触を持たせるべきだな
詠:シングルに関してはみなさん揺れてますね
達:日本には確定した物がない

「クリスマスイブ」が発表3年を経て大ヒットするのは88年。
89年の発表「約束の橋」は3年後に最高位4位になります。
2015年CMで流れてる「踊ろよフィッシュ」は87年発表時
19位のどちらかと言えば忘れられた曲。
旧譜のタイアップという手法も確立されましたが、起用され
るのはアーティストの実績の証明でしょう。

○詠:昔はLPからストレート・カット LPができる前は
シングル用のレコーディングしかなかった
リミックス、ロング・ヴァージョンとかなんとかかんとか言いながらここまで来て
元:12インチのディスコ向けのミックスや1曲の
ヴァージョンを変えて 適当な名前付けてzttレーベル
詠:昔の私のCMみたい
達:トレバーホーンの先を行ってた
FMのロングプレイ掛るところでは12インチで、ヒット
パレード番組ではストレート・カットで、LPは商売でって
感じなんでしょうかね
元:聴き手側の方でディファレント・ヴァージョンそれぞれ
楽しいという価値観を見てるんじゃないか
とくにロンドン、イギリスの方にその傾向が強い

スペシャル・エクステンデッド・クラブ・ミックス・・・
大瀧さんは「スペシャル・ざんす・ミックス」確信犯的にこの直後に出してます。


『イーチタイム・シングル・ヴォックス』にはかろうじて
「魔法の瞳」のロングヴァージョンがありました。

達:イエスのロンリーハートの12インチを先に聴いて、
それからオリジナル聴いたらすごく違和感あって
僕がカテゴライズに執着し過ぎなのかもしんないけど完全に
違う音楽なんですよ、同じ曲にはとても思えなくて
一発録りの時代じゃないから何をオーヴァーダブして
重ねて 例えばaからbのところで何をつけるかって編曲法の
セオリーの中でベストなものを見つけて行くのが僕なんかの
意識的にはそこで完成しちゃってる
それを努力して壊そうかってのはナンセンスのような気が
してる

プラスティックラヴの12インチは出来心ですよね。

元:演奏しているアーティストよりもエンジニアの方が
クリエイティヴなアイディアを出して
もうエンジニアの作品なんだと自ら主張している
達:音楽よりも技術的な内容を売り物にしてる気がして
しょうがない 昔とは質が変わってきてるのかな

小室哲哉が「夜ヒット」で山ほど持ち込んだ機材への御託に
冷笑したのはこの頃でしょうか。

○season in the sun アルバムヴァージョン
元:アラン・ウィンスタンレーはバンドがやってきたの物を自然にフォルムでまとめる
○海外のエンジニアは?
達:ジョー・ヨルゲンセンはいかにもNYのmorの 76,
77年当時のNYの一般的な風潮だった
4リズムにブラスとストリングスというオーケストレイションの
○元:アーティストと本質的に関係ないところでレコードが
出来上がってるけれども今後は自分の音楽的なキャリアと
深く結びついたところで必然的にこの人だというチョイスに
なるんでしょうね
達:当然そうです。僕はなるべく日本人でやりたいです
ハードウェアの技術含めてアメリカなりイギリスには
まだまだかなわないところがあるけれど
何とか負けないような日本のノウハウを作りたい
僕らが今まで日本語のロックを始めてきて 大瀧さんが
始めて15年以上たってるんだけど
ある人のライヴ見てバック全部外人だった これだったら
日本語じゃなくていいんじゃないかな
凄く複雑な思いに捉われて
いままで日本語で洋楽のメロディーに乗っけてきた努力って
それがお金の力で外人のパワーやイマジネーションであっと
いうまに払拭されちゃうんですよ
僕の感覚でいえばほんのちょっとの差でしかない物がまた
開いてくのかなあ
いままで必死になって肉体に定着させようとやって来た努力
がいったいどうなるんだろう
○元:トーキングヘッズ黒人を安易に起用した NYの批評
家に酷評された
達:少なくても言語が同じ インターナショナリズムに抵触しないから
僕らが行く場合には言語の問題があるしだいいち赤の他人
で なんのために同じドラマーでバンド志向でやってきた
かって意味が無くなっちゃう

バンドのメンバー選ぶのも大仕事です。そして交代させるの
も大仕事です。
安易に外人なんて呼んでこれないんです。
佐橋佳幸ですよ!3人のバック務めてた、新事実!

○エンジニアの話
吉田保さんと5年、前の5年が自分で、その前5年が吉野金次さんとか

86年は『CDブックT』87年は『ブラック・ブック』を
リミックス。これはエンジニア主役のミックスだったと思い
ます。

○はっぴいえんどLA録音
ビーチボーイズが使ってたスタジオだとかブライアンが
使ってたオルガンだとか それだけで打ち震えて
達:やっぱりそういう憧れってあったんですか
詠:ありましたよ

以前わたしが福生を訪ねたのも、そういう痕跡を確認し
たかったからだったと思います。

○意図をもって行ったわけではなくてたまたま偶然そうなった
その頃は山下君はNYのこういう音をとか佐野君がイギリス
のこの人たちだとか選ぶとかっていう時代じゃないんですよ
暗闇の中を手探りで歩く まるで五里霧中
ヴァンダイクパークスは僕が曲を作れない時に飛び入りして
来て
バースが来て3冠王取って阪神が優勝するみたいなもの

85,86年三冠王でした。西武に勝って日本一でした。

○フィヨルドの少年・・・少女で ギタリストを招いて
ああいうようなギターを弾ける人が日本にたくさんいれば
山下君は弾けると豪語してましたけど
達:言いましたっけそんなこと
海外のセッションマンと言えばヨーロッパとか南国とかいう
けど、北国の人とやるっていう考えもあっていいんじゃいか
ってちょっとひねくれたあれをやってみたんだけど

こんな発想の人はいまだにいないでしょう。

○there goes my baby
クレージーも研究してるからドリフターズも研究しようか
ってことで始めたんですけど
トップガン バーで女を口説くシーンで

観てないです。トムクルーズはココモのカクテル(88)は
観ました。ライチャスならゴースト(90)、ロイオービソン
のプリティーウーマン(90)は観てます。T屋の店員だった
ので。

ホール&オーツのふられた気持ちの最後のサビで全員が
大合唱する
リズム&ブルースって単純に演歌なんでしょうね
演歌とかR&Bは女の人を口説けるんでしょう
これが演歌なんじゃないかって思って聴いてもらえると
こういう曲も日本の演歌の元になってるんじゃないかと思う
ストリングス入り方がいかにも演歌を感じさせるんです
ドゥリフターズに出会ったのは、ディオンのルビー
ベイビー、エルヴィスのマネーハネー
いろんなグループ、いろんな曲に出会ったのはすべて
プレスリー
トップガンを見てそう思うというこじつけの大滝らしい

これは先月まで知らなかったんですが、「500マイル」って
エルヴィス歌ってないんですね。
てっきり、エルヴィスのレパートリーとして「500
マイル」があるものだと思ってました。
「もしもプレスリーが500マイルを歌ったら・・・」の
物まねネタだったのかい。

達:ベンEキングが入って初めてのヒットですからね
スタンドバイミーが今ベスト10に入ってる
詠:三橋美智也の達者でナが今日本のチャートの10位に
入る可能性が1%もないっていうのがすごく寂しい

「スーダラ伝説」(90)最高位10位は快挙ですがだめですか。
氷川きよしの「白雲の城」(03)は「古城」のオマージュ
だったと思います。最高位3位。

元:R&Rは1人称、R&Bはブラザー&シスター・・・
相手がいてより大きな同胞的な愛を
達:ブルースと違ってR&Bはヴォーカルグループが多い
からコール&レスポンスが

「Tシャツに口紅」。詞がちゃんとR&Bしてる!
大瀧&松本のコール&レスポンス。

劇伴スコアはジャック・ニッチェ

2週目

○3者の新旧プロダクツ
達郎のリクエスト バイバイCボーイ
詠:好きな理由は? 達:なんか感じですね
詠:岡本太郎じゃないんだから
達:ペットサウンズとかあの辺の意識なんですか
元:うんそう
トラ2に入れた曲は僕のポップサイドのスイートな部分を追求した
詠:佐野君の原初的というか本来的な部分
山下君は原初的とか最初の物とか裸の物とかいろんな手あか
のつく前の物とかにすごく反応する人なの
すごく敏感 いちばん最初に作った曲でしょう そういうのを選ぶ人です
アナーキーというグループが好きだとか そういう人なんですよ
元:達郎さんはヴォーカルスタイルでもエモーショナルな部分を大切にしてるから
達:うまいへたじゃない 素直さっていうか

元春と達郎の持ち味を見抜いた一言でした。テーマにハマっ
てるかと言われれば・・・ですが、3人大放談での大瀧さん
の配役はこの位置です。

○元:原初的といえばバディーホリーのしゃくり上げる
ところとか、エディコクランの息のひきつったところとか
R&Rの原初的な典型的な要素を感じる 今でも震えます
達:声作ってないから アカデミックに教育された発声じゃないから
○50年代のレコーディングの現場って
詠:もちろん一発取り
白人のロックンローラーっていうのはいかに自分はかっこ
よくていかに女の子にキャーキャーいわれるかだけを考え
てやってた人たちだね
元:だいたいはウッドベース使ってます?
50年代は半々でウッドがけっこうあります
達:録音悪いから音程がはっきりしないからベースドラムと
一緒になってごちゃっとした感じがエネルギーがある
今みたいに分離はっきりすると力が無くなっちゃう 同じ
演奏したとしてもあれだけの力があるかというと難しい
はっきり言ってズレてる
日本の長唄 タイトさ 三味線のメロディーと歌が合っちゃいけない
両方聴けないから必ず歌と三味線のポイントが微妙にズレてる
詠:ダビングで後で一つの物を聴きながら他の演奏をするとそれに合わそうとする
わざとズラそうと考えてる人もいるようですけど、それなら
一発取りにもう1回
全員の間、呼吸ね

96年第2週で「ナイアガラ音頭」のレコーディングのところ
で話してる内容に似てます。
達郎はちゃんとわかってて、あいづち打ってたんだ。

○あまりにもサイクルが短い 製品化された音楽が加速度的
に大量消費されている
詠:スケジュール帳捨てればいいんです
達:アメリカ レコード以前の20〜30年代に信じられ
ない数のカタログがスタンダードナンバーで
どれだけ残ってるか。ほとんど残ってない
それは時代とかそういうものなんで 僕らが解決できるよう
な問題じゃないかもしれないし

未来の予定は立てず、現在の記録のみ残す、そうして行きましたね。

○僕の中の少年
元:達郎さんの新しいプロダクツから聴いてもらいましたけれども
つづいて大瀧さんの古い作品から
達:爆笑

元春がまじめに進行しているのがおかしくてたまらない。

○びんぼう 71年12月にはっぴいえんど時代に出したソロアルバムの第1号
達:ソロのためにもともと作った曲なの?
僕としてはグループ内でべつべつに1回ずつ出して、という
形の物かと思って始めた
半分はっぴいえんどぽいんですけどね
松本、細野、鈴木
達:すごかったんですよ 打ち合わせですぐこのフレーズ即でてくるわけでしょ
今と違って緊張感とイマジネーションが要求される その場で
元:当時のレコーディングの様子は?
寝っ転がって歌ってるんです 歌詞がほとんど無くて
めっちゃくちゃな歌がガイドヴォーカルに入ってて
達:歌のパターンとしてどういうもの目指したの?非様式なの?R&Bでやろうとか
ジムリーブス「ビンボー」掃除してる時に聴いて
岡林信康のバックをずっとやっててみんな貧乏がどうのって真面目にとらえてて、
見事なプロテストソングだったと思うんだけどそういう時期
にあったから
わたしはピューリタンです

元春の歌う「びんぼう」も聴いてみたいですね。

○それぞれのプロテストソングをかけようじゃないかと相談
エスケープ
元:ぼくこれリクエストしまーす
例えばボブディランだとか彼らの歌ってる内容から現在を
知ったり歴史を紐解いたり
必ずよいテイストのsence ofユーモア、誰もに親しんで
聴かれるポップス性のあるプロテストソングが至上の曲
これは気持ちよく聴ける素晴らしい曲だ

「蒼茫」「アトムの子」「希望という名の光」。達郎の
生ギターは岡林から譲り受けた物じゃなかったでしょうか。

○サウンドストリートは3年間やった 番組の売りは?
達:日本のステーションでかからない曲を
音楽って何十年と歴史があるのにそれがあまりにも出ない
同好会的な慰め物にしたくない

86年3月で終わって、90年まで新春放談の場が達郎側にはなかったんですね。

○日本に今FMがいっぱいできてきてますけど大瀧さんは
どんなことを望みますか?
基本の力強い音楽とか、それを新し目に言うなら情報量の
多い物でもいいけど それを一つ聞けば他の99聞かなく
ても100の価値がある
達:フィルターを持つべきだ 昔は趣味、好き嫌いだった 聴く聴かないのも権利
自分のフィールドに合ったフィルターを開けて
そこから流れ込んでくるものだけを個性として培って行く
今はそのフィルターがないから飽和して何が良いか悪いかわからなくなってる

良いDJの選曲と解説、この3人の番組をリアルタイムで
ずーっと聞いてたら、わたしの音楽体験もより素晴らしい
ものになったでしょう。
75年6月10日から出直し、それをやってるんです。

○99ブルース
元:いちばん苦労したのはね フウウー どうも型どおりになっちゃうんですね
型を自分で破れるまで何回もやりました
詠:オーイエーにもう何度も時間かける人だからなあ
これはすんなり聴けてすごくよかった
いろんな歌詞が下の方で蠢いてるんだけど表面上をずっと
ドライヴして行くでしょう。こういう在り方が好きだな
16年ぐらい前のフォークのプロテストの人たちがが出来なかったやり方だよね

元春のキャラについては、「布谷イズム」ですね。これは
「大瀧詠一的2011」で詳しく。

○詠:オリジナルを考えていくうえでこれから自分でどういうふうな曲作りをするのか
以前考えていたオリジナルと違うか違わないのか
ビートルズが大ヒットした時にイギリスに雨後の筍のようにバンドが出たんです
最近ヴィデオ見たんですけど知らないような人たちが全員
ビートルズのマネして
我々知ってるのはビートルズに対抗したローリングストーン
ズやデイヴクラーク5とか個性的な人たち
没個性の人たちが、あれだけいっぱいいたのかって
よく日本人が西洋音楽をまねしてオリジナル作ってって
いまだに自分たちのオリジナリティに目覚めよと
ビートルズが売れたからまねした人たちがイギリスにいっぱいいた
イギリス以外の人たちがビートルズのマネをするのがいけないのか
みなさんジェネレーションの違いからいってどうですか
達:難しい問題ですね
元:こと音楽だけじゃなく東京で起こってること、パリや
ロンドン、アメリカで起こってること
だいたい似たようなもの、同じような見方で社会を見てる
世界を感じてる若い連中がいる
国籍とか性別とか年齢とか関係なく
精神上でのシンクロニシティがもう活発に世界中を飛び回ってる時代なので
僕は大瀧さんの提出した問題はナンセンスだと思うな
達:僕は徹頭徹尾今後もインターナショナルで活動する意志も意欲もない
ただ作品のクオリティがそれに接近するものは作りたい
基本的に日本人が聴く日常に沁みていく音楽 日本の観客を
対象に
それが一番重要な音楽と思ってくれる人のために奉仕しよう
という一点のみでやってる
音楽って小津の映画と同じで、ある一点を超えた真実って
万国共通なんでね
突き抜けるもので人間を説得することは可能だから
それをするための日本人のミュージシャンの力量には希望的
観測は持ってる
それが向こうの人から見てどういう形に見えるかはわからない
ミッキーカーチスさんがちょんまげ結って出てってみたり、
今でも琴を入れて行くとかジャパニーズカルチャーを前面に
打ち出して行ってるわけで、
日本人ということ関係なくインターナショナルな
ミュージシャンとしての評価を受けてる人は一人もいない
それをどれだけ解決できるか
やっぱりもっと国内で日本人のカルチャーを作らない限り、
それを飛び越えてインターナショナルなものは出来ない
文化は一番土台じゃないから 土台をしっかりするために
ミュージシャンのグレード上げるとか
日本語で歌う音楽を洋楽にナチュラルに乗っける努力を
みんなでして来たわけでしょ
それがどっか明後日行っちゃうんじゃないか
元:自分の周りの友達だとか愛しい人だとか東京で身近で
起こっていることだとか
をテーマにして曲にまとめて日本の若い連中たちに歌う
それが僕のソングライティング
そのままNYに持って行っても通じるものでもないし、通じさせる必要もない
例えば海外で自分の音楽のキャリアを伸ばしたいという希望
があればまったくアプローチを変えて
達:でしょ?
元:うん
ゼロからまったく違うプロダクツを作る
達:もう13年やってるから22,3の時に大学生の人が
郷里に帰って子供持って熊本のコンサートに来る
やっぱりそういう人のためにやりたいんだよね
見も知らないのLAの観客のためにそういうことを犠牲にしてまでやる意欲はない
ハワイとか香港公演とか昔あったんです
ステージ構成とかずっとやってきたルーティーンが違うと
音楽も違ってこなきゃなんない
それで得るものはあるけど失うものも大きいんだったらやりたくない
元:ファンとの約束、積み上げたものをブレイクして海外でやることは無理がある
詠:僕らは16年前にその問題を根源に抱えてスタートした
その都度その都度もう1回考えてると思うし、その考えを
あからさまにすることは次何を作るかに大きく関わってくる
かなと思って、いま問題提起したんです

日本人のオリジナリティー、日本語のポップスを探求し続けた大瀧さん。
達郎と元春もこの師匠からのインスパイアを今日まで記憶し
ているはずです。

○新旧取り交ぜたナイアガラトライアングル
達:トライアングルはもうやらないんですか
詠:山下達郎、佐野元春以上の才能に巡り合えるとは思いませんね
達:最後はよいしょで終わりました
元:それでは一番最後はやはり大瀧詠一さんのこの曲で
詠:曲無しでテーマにぶつけたほうがいいよ。シメもう1回録りなおそう
達:いいの
詠:いいよ
達:いいの!
詠:ダメなの
元:大瀧詠一バチェラーガール

役者がそろってる中で、大トリを取りたくないって性格がありますよね。
大瀧さんが生きてたら「風街レジェンド2015」にどう出演したのか。
依頼をどう断って、どういうダンドリで大瀧作品は紹介されたのか・・・








ウララカ−インマイルーム