新春放談クロニクル 2000



  




2000年

1週目


●まる一年会いませんでしたね
時々メールをするんですが15分で返ってくる
△古い友人がメールを始め、朝方に返信したら驚いた
●やってましたねパソコン通信
自分のサーヴァー持たないんですか
△忙しくなりそうだから
●5年くらいわーっとのめり込んで、そんな事あったっけ
それが好きなんだ

来年、2001年の弁が楽しみです。


●松本さんの風待ミーティング
なんで大瀧さんがいないんだ
△ハァー…(溜息)
ラジオだと思って、ポップス伝の同じスタッフ
TVが入るとは
ラジオは昔から好きだけど
●加山さんの僕のところ切られた
△俺TV見てたよ、出てたの?
●2曲歌った
あー美しいビーナス たとえー
△君向き

98年8月のライブ「永遠のギター キッズ」。音源は流通
してました。


●どうしてゴーゴーナイアガラやらないんだ
△あれラジオだったんだね
やっぱり、忙しくなりそうだから
定期は嫌だ
●気が向いた時に今月は第2日曜だけとか
△テンションが2、3分しか持たない
●カブトムシじゃないんだから

「カブトムシか、あんな虫のどこがいいんだ」
「俺どうしても欲しいズラに」
秋立ちぬにとってのカブトムシは少女との約束、
少年の夏の日、あの夏の夢。


●最初からカード切ってっちゃネタが無くなって
△ハートの2ぐらいの所から
●言うまいと思えど2000年でしょ
大瀧さんの場合2001年問題ってのが
△君のとこの2000年問題は無いんでしょ
ドゥーワップ良かったよ

切って貼ったかのように話題を変えました。


△エンジェル歌ってたでしょ昔
●福生のスタジオで
△シャドーズのが良いって言ってたね
あれを聴くとあの頃を思い出す
私にとっては懐かしい
僕ができないから僕の代わりに
●エルヴィスのを聴くと大瀧さんはやっぱりエルヴィスに
ヴォーカル影響受けてるのが分かる
△そう思って聴いてるだろうなと俺がまた思う
二重三重に面白い
●誰も分かんない
△分かんなくっていいんだよ
君は歌う時そこに0.0001%もまるで皆無でやるわけない
それを考えつつ聴く

ライヴでの織り込みカヴァーにチラチラ大瀧さんの曲を入れてます。
知らない人は気づかなくてもいいし、分かった人だけジンとくる、
大瀧さんが聴いてニンマリ思う、と確信してやってる。
わたしが気づかない知らないフレーズも同じくらいある
んでしょうか。


●ミュージックマガジンの高橋さんが
 

僕は5つくらい上の人に敬意、畏怖、反抗心を
△我々は10年上
●松本さんのカヴァーは若い世代から
△20年前なら50年代 お富さんをやるようなもん

すべからく代打人生なんですよ
相撲、野球
はっぴいえんども小坂忠の
●代打でホームラン打ちまくって来た人生だと言えるじゃないですか
△4時に野球場入って6時からやりたくない8時半まで見ていたい
世間的にはそれをオイシイというけれどやる方にしちゃ
プレッシャーだよ。それをプレッシャーだと思わないんだ
●知らないうちにやってたってヤツ

その8時半までのベンチの雑談が面白いに違いない。


●業界の人に最近よく聞く
こないだ大瀧さんを見かけたと。そのオーラのすごさ
△ライヴも映画もどこにも行ってないよ
俺に会った、とかってぐるっと回って来るよ、誰にも会ってないけど
見たって分かるわけないじゃん。業界で俺の姿を見て
大瀧詠一と確認できるのは12人ぐらいだよ

09年の雑誌東京人での近影には驚きました。オーラが消えて
る点にも。

14年4月号に載ったショット


●12人の確認男
△12人いれば裁判できる
●ボケのヴェクトルがおんなじ
オチを考えるようになって来た、昔はボケとツッコミとか
考えなかったけど、高田さんの話聞いたりしてだんだん
自動機械みたいにノリになって
△会話を弾ませる勘所、餅つきと同じで餅をつく人と返す
人の
新春にふさわしい、お雑煮を食べながらだよ
●大瀧さん家はお雑煮は…

良い塩梅に脱線するにまかせてます。今回


●レッツオンドアゲン細川たかし
保さんはチャンチキ死ぬほど嫌い。彼ほど土着な物を
僕らよりぜんぜんヴァーチャルな人
△ハッピートゥゲザー、イマジンミーアンドユーの人だから
アーシーだという地面に近い重心の低い物をきらびやかにしてくれる
自分に無い物だから
どう聴かれるかを想定して作ってないから、よくこういう
風に楽しめるなあと
レッツオンドアゲンはシエンだ、戦闘機

紫電、飛燕?


●最近完全に二極分化して
大瀧さんは普段なにをしてるんでしょうか
そういうのと、まずこれですね
栃木県のキチマ君はポップス伝の文字起こし
△マジ。なんだこりゃ。すごいね。このヒト普段なに
してんの。俺が聞きたい
「ナイアガラーとしてポップス伝3の写経に励みました。
僭越ながらご奉納いたします」
●こちらはですね
△まだあんの?
●神奈川県のネノイダイスケさん
すべての大瀧さんの音源のヴァージョンチェック

05年頃までは交流していただいてました。


●分からないことあったら
△聞いてって
●FDのデータも、150頁くらいありますかね
こんなの自分じゃ出来ないですよね
△やる気がないからね最近
ヴァージョン違いなんて事を自慢するけど日本の音楽界で
言い始めたの私じゃないですか
ここ一年くらいは異常にどうでもよくなって来た
こういう人たちがやってくれればいい
すごいね、ちょっとこれ言葉を失ったな
●大瀧さんにすごいって言って欲しくてみんなやってるんですよ
大瀧さんに言われりゃもう死んでもいいって

出来た成果とともに、目的や方法や費やす労力と意欲も
評価してほしい。今やってるのは、未だにそのプレゼン
テーションです。


△なに言ってんだ赤穂四十七士じゃないんだ
●恩讐の彼方に、ですよ
△持って来る例えが古い
●今だったら何て言えばいいのかなあ
△あの話は俺も好き、少年時代にけっこう感銘受けた
●最初が敵討ちだったのを最後はすっかり忘れてる

Kindle版をダウンロードして読んでみました。
果し合いは無し。TVドラマ版が
二人の原体験か。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/恩讐の彼方に#.E3.83.86.E3.83.AC.E3.83.93.E3.83.
89.E3.83.A9.
E3.83.9E



おんなじじゃないですか。データ作るのを自己目的化してる
ナイアガラーの家頁もすざましい
△ちょっとくたびれて来たんじゃないかな
●大瀧さんの家頁も開店休業ですね
△あんなもんでしょう
今年のキーワードだけど
忙しくなりそうだから
始めるのはいいんだけどさ
●大瀧さんはプロセス、アイディア作る所の方が完成
させることよりも楽しいの
△デモテープが楽しい。世に出ない。でも
デモテープだけで終わった人生は寂しい。かと言って
デモテープが無くて作品だけ出して行くのも技術的にも心理的にも無理
●たまたま歌が歌えちゃったのが悪い
△これも代打だよ
●代打にしてもそれを長くやり過ぎた
最初お会いしてから大瀧さんを5年6年と見るうちに
行為者として表現者としてミュージシャンでやるのが一番カンファタブル、
快感原則に合ってる。物書きとかDJとかあるけど
レコードというヴァーチャルな物を構築することが
ロンバケ出した時もそう思ったし
たとえ15年に一枚と言えども、でも、それが大瀧さんの
たった一つの継続なんだ
△そうかもしれないな
番組の〆のようだけど、それもこれも返す返すもこの番組に
ずっと連続して出てたからだな、間違いなくそうだな
お陰さまでしたよ

達郎さんは音楽家大瀧詠一を的確に評論できる数少ない批評家です。



2週目


私のシングル、まりやのシングル、アルバムが決まってます

juvenileが7月、ボナペティは翌年まで延びて。


●お風呂で鼻歌なに歌います?
△達者でな
●僕ここ最近船頭小唄なんです
△おおオオ〜〜

驚嘆が転調してます。


△なんだよそれ、何で
●節回しが自分に合ってるんじゃないかと
△君の船頭小唄はまったくイメージできないなあ
へーあーそう
●そういう年回りになったのかな
△中山晋平の中でも異色
野口雨情が作った
本條秀太郎さんから話を聞いた。ポップス伝3でやりたい
山下達郎メロディーと船頭小唄
●自分にどういう日本のメロディーが合うのか、どんな曲が
歌えるのか。大きな長年の課題
Don't ask me to be lonely はフィットするけどそれって
ヴァーチャルじゃない。自分はどこに遡って行けば自分の
体感に合った日本の何百年の遺伝子を受けた自分に
フィットした歌に…
大瀧さん自身は三橋美智也歌うとそうなるし
△春よ来いに三橋美智也が入ってるとは夢にも思わな
かった。自分でポップス伝やるまで
あれ、りんご村からなんだよ

若者の心の望郷に響いた。


●たしかに大瀧さんの歌にはそういう物がある
自分の体の中に三橋美智也、意識するようになったのは?
△小林克也さんが外はいい天気を聴いて、坂本九みたいだね、って
●小林信彦さんとか上岡龍太郎さんとかぜんぜん違う
フィールドの方にはぜんぜん違う印象がある。それが
期せずして自分の気づかない自分の素顔を映し出してくれる
上を向いて歩こうは普通に歌える
歌にとっての情感がだとかのレヴェルではあの歌だったら、
それに匹敵する歌が他にもあるのか。船頭小唄がはまった
のが自分でも意外でね


●悲しき夏バテ
△74年の事は詳しいなあ
片面プロデュースが得意
●ちょうど僕が行った時、出来るか出来ないかの聴かせてもらった

73年8月18日が出逢いの記念日。


●この間ファーストナイアガラツアーのヴィデオ観ましたよ
最後にプールに浮かんで
タランティーノ真っ青
△井出情児、自分のフィルモグラフィーに入れてない

Film No Damageはリアルタイムで中野で観ましたよ。
http://movie.walkerplus.com/mv53888/


●色んな格好して出てきましたね
△それでくたびれちゃって
●渋谷公会堂でこれから大阪に行かなきゃいけないから
アンコール拒否して

出演してないはずなんで、観たフィルムにその場面あるんですね。


●大瀧さんがまとまってツアーやった事ってないんですね

△昔の事ってだんだん忘れてくね
●自分史に関しては鉄壁だったのにね
△本当にどうでもよくなって来た
あなたが嫌いなトリヴュートとかどっちか言えば私が
やるような物なのにまったく興味無いんだ
先にに似た様な事やってるからね

若大将のトリビュート60 CANDLES』は(97年4月)
に大瀧さんは参加。達郎さんは98年コージーで
ブーメランベイビーをカヴァー。『グレイテスト・ヒッツ
アビーロード・スタジオ・マスタリング』 (2001年11月)
のライナーで対談してます。


ファンがいなかったから自分でやるしかなかった
今はこういう事やってくれる人がいるから。今日本当に
意を新たにした


●じゃあ人に曲書くとか今年はない
△マイナスといっていいくらいない
●ナイアガラレコーディングシステムは今年は無いんですか
14人でスタジオ入ってやるっていうのは無いんですね
△どういう攻め方をして来てるんだ、今年は
無いとは言ってないぞ
●うちのカミさんアルバムだからそのシステムで1曲やって
いいですか
△いいじゃん、流れがあって、やってくださいよ
見学に行くから
●大瀧さんにセオリーだけ聞かないと

「心はいつでも17才」がヴェクトルとしてはナイアガラ
システムでやりそうですが、見送ったようです。


●音楽は聴いてますか
△車でね、プレスリーだね
●同世代で話し合う人います
△いないんだよ64,65,66,67年、どうでもいい映画
中学から高校で映画も全部見てる
つまんない映画ばっかりなんだよ、楽しかったんだな歌うシーンが
●そこまで我慢し待ってるんだ
△シェリーフェブレーも好きだったから
●(大笑い)


△当時が良かったっていう人は非常に少ない
何が良かったかって
プレスリーファンから怒られるけど
バディーハーマンのドラムが良かった
巨人ファンとも話が合わない
自分の根底にこんなにもバディーハーマンがあったとは
思わなかった
●分かります
ハルブレインが好きだからママパパ聴いてるんです
ダンヒルのあのリズムセクションの
△キューティーパイの間奏に入る所も
エヴァリーもおんなじ、プレスリーもおんなじ
●ドラムで聴いてたんですか
△サイドのギターとベースのアンサンブル
スネア
乾き具合がいいなあ
どこにもない、日本で録れないしイギリスも違う
アメリカも東も西もあの音でないんだよね
●ナッシュヴィルでしか出ないんですね
△ティロットソン、オービソン、エヴァリー・・・
●僕ももともとドラムだから
大瀧さんに初めて会った時
ハルブレインかジムゴードンかなんて言って、変な人だと思った
ターンターンターンとイヴオヴディストラクションと
アソシエーションだって
トップ40の中で展開されてるから
△表に出てきてる音だった
●73年に大瀧さんの家で
ドラムだったらこれが良いって
ラルフギャランって名前がインプットされてる
ジェリーリードのどのレコードにも見つからない
あれ何なんだろう
△憶えてないんだよ俺が・・・

今回、初めて逢った頃のネタが多くて、中央線、青梅線へ
と移動した車窓にヴァーチャルに再生出来ました。


●大瀧さんは作曲家一人って言ったら誰なんですか
キャロルキング?
△リーバーストラーかな
ナイアガラムーンがリーバーストラーに挑戦したアルバム
なんじゃないかな
日本じゃ難しいよ
強引に類似を探すと古い芸能とか
●小沢昭一さんの世界
リーバーストラーだったら1曲は
△プレスリーになっちゃう
ボサノヴァベイビーまで63年
それで64年にビートルズが出てきてしまうという私の体験
ボサノヴァベイビーのドコドドンていうのがハルブレインだよ
ツッタンツッタンていうスネア
ドコドドンとダドゥロンロンは同じ時期だよ

●バートラッセルに急に興味が出てきて
イナタいでしょ、南部で、ディープでアーシー、不思議な
ことに船頭小唄になっちゃって
△たしかに船頭小唄はディープ、民謡だから
●今回オンストに入れたキャステルズ、フィラデルフィアの
グランドはジェリーラガボイなんですよ
南部じゃなくてイーストコーストで
ニューヨークで変にディープな音を展開してた

ブルーヴァレンタインデイのカヴァー、92年2月のライブ音源。
コンポジション(13年10月)の歌唱が船頭小唄を連想させます


△出身だけで物を計らないように
●大瀧さんもエルヴィスからいきなりはっぴいえんど
△侍がマゲ落とすようなもんでしょ
●戻ったらナイアガラムーンになっちゃう
△リーバーストラーだから
エルヴィス回帰なんだけどかっこよくないんだ
ノヴェルティはかっこよくなきゃならない
●人生は皮肉な物で
ナイアガラムーンのほうが大瀧さんのキャラクターに
密接に合ってるにもかかわらずロンバケのほうが商業的に
成功したからイメージが
△自分の中に童謡、民謡的な物もあるし唱歌的な教育された
部分もあるし

レコーディング・カタログを見るとジャンル分類出来ない
アーティストです。しかも全キャリアの3分の1、全仕事の
3分の1だと思います。
ソニーが遺作を復元するように、NHKもミュージックマガ
ジンとかも功績をアーカイヴし続けて欲しいですね。


●2001年問題に関してはだいたいの想像がつくんですよね
△その想像って当たりそうなの?
●大瀧さんの予測は半分は当たるけど
半分は当ててたまるかみたいなところある、言っちゃうとだめだから
出ない、と言っとけば出るでしょ
△ふーん.



今回は夢で逢えたら2017。羽村への墓参りを敢行して、
ですので、一対一でお逢いできたことをオーヴァーラップ
してみました。予想外にテーマをリンクできましたね。







ウララカ−インマイルーム